この恋が終わる瞬間を

side 松本ハルキ

*

二人乗りをしていても、千鶴は腰に手を回したりしない。

平気な顔で、きっとよそ見でもしながら座ってるんだろう。


そういうところがいいと思った。

自分の足で立ってる感じ、ちょっとの事じゃ折れたりしない感じ。



「でもさ、静司とさやかってお似合いだよね。付き合ってないのが不思議」


俺と二人になると、こいつはよく静司の話をする。

静司とさやかがどうしたとか、静司のことを好きな女の子がどうとか…。


―…お前、静司が好きなのか?


でも俺は、そのことは聞けない。

…怖いから。

情けないな。

俺、こんなヤツじゃなかったはずなのに。
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