この恋が終わる瞬間を
本屋の通りに着く。

自転車を止めると、千鶴はさっさと荷台を降りた。


「ありがとな」

「いーえ」

「気をつけて帰れよ」

大丈夫だと思うけど、と言うと、「どういう意味よ」と軽口をたたく。


こういうところがいいと思う。

ちょっとの事は気にしない感じ。


颯爽と自転車をこいで行く姿を見届けて、俺も本屋に向かった。


本当は家まで送ってやりたいけど…。


静司ならこんな時、「送るよ」なんてさらっと言ってのけるんだろうか。

そんなことを考えて、俺はがしがしと頭を掻いた。


ばからしい。

そんなことを考えるなんて。

本当に、俺らしくない。
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