この恋が終わる瞬間を
「静司は…さやかが好きなんだろ?」


…答えられない。

どうしてだろう、今までハルキに隠し事なんかしたことがなかったのに。


「だから、俺はもうさやかを支えてやれない。俺の役目は終わったんだよ」

「…そっか」

「おう」


ハルキはもともと、男らしくて兄貴肌なヤツだったけど…。

俺の知らないハルキだ。

俺の知ってる幼馴染じゃない。

いつの間に、そんなことを考えていたんだろう。

いつから、どうやって…そんな線引きをしたんだろう。

俺達の関係が崩れ始める…三人で『幼馴染』という微妙なバランスを取っていたのに。



「…ハルキ、さやかにはまだ言ってないよな? お前に好きな人ができたってこと」

「…? まだ言ってねぇけど」

「じゃあ…」

さやかには秘密だよ。

そう言って、俺は人差し指を立てて笑って見せた。

…上手に笑えていたか、わからないけど。
< 18 / 59 >

この作品をシェア

pagetop