この恋が終わる瞬間を
「ほら、鞄。多分全部入ってると思うけど」

春樹は鞄を差し出す。

私は受け取って、のろのろと鍵を取り出した。


携帯も教科書も入っている。

きちんと整頓されて入っているところを見ると、千鶴がやってくれたのかな…。


「おばさんは?」

「…まだみたい」

「寄ってってもいいか?」

「…うん」


整然とした部屋に入る。

部屋ってこんなに冷たかったっけ?

急いで電気をつけて、やかんをかける。

春樹は手慣れた様子でカーテンを引いた。


私達はこういう色々な習慣を知っている。

春樹も、静司も…―。

だって、『幼馴染み』だから…。

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