この恋が終わる瞬間を
「…静司は? 春樹、静司に会った?」

「いや。あいつの鞄もなかったから、帰ったんじゃねぇか?」

「そっか」

「さやかと喧嘩して、気まずかったんだろ。早く仲直りしろよ」

…春樹は優しい。


本当は、静司だって春樹と同じくらい優しいってわかってる。

…でも、だからこそ、どうして急にキスなんか…。

遊び?

…『好き』?


「ねぇ、春樹」

そんなことない、と頭を軽く振る。

春樹は、ゆっくりと私を見た。

「春樹は…好きな子とかいるの?」


私、春樹が好きかもしれない。

春樹といると安心できる。

静司といると、この頃不安で落ち着かないの。

まだ不確かな気持ちだけど、この安心感を『恋』と呼ぶなら…―。


「俺、中村と付き合うことにしたんだ」

「…え…?」

春樹はいつもと同じように、まるで宿題の話でもするみたいに、私にそう告げた。

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