この恋が終わる瞬間を
野球部の威勢の良い声が聞こえる。

俺達四人以外は誰もいない教室。

窓の外は眩しく、でも室内はひんやりと涼しい。

一向に進まない問題集。

ハルキの、シャーペンを握る武骨な指。


この居心地の良い空間を、壊したくはないんだ。

だから、俺はこの気持ちを誰にも−−親友のハルキにすら−−言えないでいる。



「ねぇ、誠司?」

千鶴が何か言って、声を上げて笑った。

全く聞いてなかった俺は、「うん」と言って、曖昧に笑った。
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