この恋が終わる瞬間を
…嘘だ。

嘘でしょ?


晩ご飯なんか食べる気にならなかった。

自分の部屋で、静かで小さな部屋で、ぺたりと座った床は冷たかった。


…嘘だよ。

さやかが春樹を好きだったなんて…―。


静司は言いにくそうに、私を伺うみたいにして言った。

―…さやかさ、春樹を好きだったんだ

―…え…?

―でも春樹、好きな子が他にいるって言ってたからさ…そっか、中村だったんだ

―さやか、が…?

―春樹はさやかを妹以上には見れないからって。だから中村が気にすることないよ…


そんな…本当に?

私、親友の好きな人を奪ったの?


部屋がこんなに冷たいと思ったことはない。

…ううん、私の心がガクガクと震えてるんだ。


「嘘…」

呟いた声は、自分の声じゃないみたいだった。

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