この恋が終わる瞬間を
…夢を見た。

溺れる夢。

空みたいにきれいな薄い青色の水の中、幼い俺が溺れていた。

手を伸ばしても、彼は大きな目を見開いて、手足をばたばたさせているだけ。

誰か助けて…俺を助けて…。

そのうちに、こちらから手を伸ばした俺もバランスを崩して、その海の中に…―


「静司!」

「っ…! …さやか…」

「大丈夫? すごくうなされてたよ…」

さやかが、真っ白いハンカチで額の汗を拭いてくれる。


…これは夢?

現実?


「さやか…」

「うん?」

「…どうしてここにいるの?」

さやかは汗を拭く手を止めて、気まずそうな顔をした。

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