この恋が終わる瞬間を
…俺は『妹』みたいに思ってた。

さやかも俺を兄貴みたいに思ってると思ってたけど…。


…まぁどちらにしても、俺の気持ちは変わらない。

さやかは大切だけど、俺が何よりも守りたいのは千鶴だから。


壁にもたれていた俺は身体をそらして、開け放たれた窓から頭を突き出した。

視界には六月の青空が広がる。

こうして見ると、上と下がわからなくなる。


千鶴がそわそわと携帯を取り出し、それと同時に昼休みが終わる十分前の予鈴が鳴る。

廊下にいた生徒たちは、ぱらぱらと教室に戻っていく。

「…俺達もそろそろ戻るか?」

「…あと五分」

千鶴は門の方を睨みつける。

まるで、今にもさやかが姿を見せるみたいだ。

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