この恋が終わる瞬間を
「…何よ」

小さく笑うと、憮然とした声が返ってくる。

「いや…千鶴は本当にさやかが好きなんだなって思って」

「親友だもん。心配するのは当たり前でしょ」

「まぁな」


親友と言われて、静司が浮かぶ。

朝送ったメールはまだ返ってこない。

もう一度連絡してみようか…。


「さやかがいないと寂しいしね」

千鶴は冗談めかして言う。

「妬けるな」

言うと、一瞬きょとんとして、それから弾かれたみたいに笑い出した。

「やだ春樹、おかしー」


ひとしきり笑った後、千鶴はふと真剣な顔を見せた。

「…春樹はさやかを好き?」

「なんだよ、急に」

「いいから」

強い瞳。

俺は息をひとつ吐いた。

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