この恋が終わる瞬間を
「大切だけど…恋愛の好きとは違う。さやかとは付き合えない」

「そっか」


いつの間にか、廊下には誰もいなくなっていた。

あと一、二分で授業が始まる。

準備の早い先生なんかは、予鈴と同時くらいに教室に入っていたりする。

(ちなみに次の時間、俺は数学で千鶴は自習だ)


戻ろうか、と千鶴は明るい声で言った。

教室に入っていく後ろ姿を見送る。


…―なぁ、千鶴。

今さら「付き合えない」なんて言うなよ…?


本鈴が鳴る。

俺は冷たい壁に身体を押し付けた。

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