この恋が終わる瞬間を
*

ぽつりぽつりと話しながら、俺とさやかはもうここで何時間過ごしただろう。

日が長くなってきたとはいえ、六月の日差しはまだそんなにきつくはない。

だんだんと陽が傾き、辺りをほんのりと紅く染め始めていた。


さやかとは色々な話をした。

春樹と中村の話もした。

さやかは口数少なく、「うん」とか「そう」とか返事する。

俺も、いつもよりは随分黙りがちだったと思う。


平日の海は静かだ。

俺達の『秘密基地』に聞こえる波の音。


…これから俺達、どうなるんだろう?

このまま受験して、別々の大学に行って、いつの間にか連絡もとらなくなって…?

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