この恋が終わる瞬間を
「…ねぇ、静司」

ぼんやりと海を見たままのさやかの横顔。

さっきまで夕日に照らされて真っ赤だったのに、今はもう青暗い空の下で異常に白く見える。


「私達、変わっちゃうのかな。今まで通りじゃいられないのかな」

「…そうだね」


俺と同じことを考えていたのか。

…俺にもその答えはわからないよ。


「やだな」

「うん…」

「寂しいな」

「うん…」

「でも、春樹と千鶴のことは喜ばなくちゃね」

そう言って、小さく笑う。

さやかは立ち上がって、じっと海を見つめた。

「喜ばなくちゃいけないのに…なんでこんなに悲しいんだろ」

「…さやか」

「…悲しいなぁ…消えちゃいたい…」

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