この恋が終わる瞬間を
*

もう六月というのに、海の水はまだ冷たい。

繋いだ静司の手もどんどん冷たくなっていく。

私はその手を引いて、波に押されながらもザブザブと進んでいく。


…これで死んだら、バカな高校生だと思われるだろう。

失恋くらいで自殺した、バカな女子高生。

…でもそれでもいいや。

この複雑な気持ちをわかってくれる人はそうそういないと思う。

別に誰もわかってくれなくてもいい。


暗い海。

でも静司と手を繋いでるから怖くない。


…静司は何を考えてるんだろう?

私の手を取っただけで何も言わず、手を引かれるままに私の隣りを歩いている。

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