この恋が終わる瞬間を
静司を巻き込んでいいの?

静司を連れていっていいの?

静司の人生を奪っていいの?


…いいわけがないじゃない。

そんなことできない。

静司の人生は静司のものだもん。

私のせいで、こんなところで終わらせていいはずがない。


ごめんね、静司。


大きな波がくる。

一瞬、繋がれた手の力が緩む。


…ごめんなさい、静司。


手を振りほどく。

静司の大きな瞳が、驚いたみたいに私を見た。

何か…きっと私の名前を叫んでいるけど聞こえない。


大きな波。

冷たい海。

すぐに静司との距離が離れていく。


…ごめんね、静司。

静司の手を離したら怖いけど。


私、後悔しないから。

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