夜明け前
それが分かっていても、ユウスケは、仕事のことをいろいろ言われるのが好きではなかった。全くお金がないときは、友だちに平気で借りたりしていた。ギャンブルで賭け事をしてまとまったお金を得ることもあり、それで欲しいものを買ったり、借りたお金を返したりもしていた。始めは黙っていた彼女も、だんだんそういうことに口を出すようになってきた。まるで母親のように、仕事は?仕事は?と言われると、話をするのが嫌になることもあった。もちろん、それで彼女のことを嫌いになることはなかったし、ずっと一緒に居たい気持ちが変わることは無かったが、それでも、たまには居留守を使ったり、話があると言われていても先に寝てしまったり、遅くまで出かけて帰らなかったりしたこともあった。
自分の嫌なこととは、向かい合おうとしなかった。
妻とのときも、そうだったかもしれない。
相手の気持ちが、自分から離れていくのを感じていたので、それを認めることが怖かったのかもしれない。向かい合うことで、本当にそれを認めてピリオドを打ってしまうことができずに自分を誤魔化していたのかもしれない。
結局、逃げていたのは俺なのか。
妻は、他へ心の拠り所を求めた。それは当然の結果かもしれない。
そして、彼女もまた、そうだったのかもしれない。
彼女は妻以上に、自分の気持ちをあまり話さないで、自分の中に溜め込んでしまうタイプの女だったので、それを察してやれなかった自分には、彼女の気持ちを理解することなんてできなかったのかもしれない。
女は、いつでも気持ち、気持ちと、見えないものを重視する。
自分の気持ちさえ、ときどき分からなくなると言うのに、自分以外の相手の気持ちをそんなに簡単にわかるはずが無いじゃないか。
自分の嫌なこととは、向かい合おうとしなかった。
妻とのときも、そうだったかもしれない。
相手の気持ちが、自分から離れていくのを感じていたので、それを認めることが怖かったのかもしれない。向かい合うことで、本当にそれを認めてピリオドを打ってしまうことができずに自分を誤魔化していたのかもしれない。
結局、逃げていたのは俺なのか。
妻は、他へ心の拠り所を求めた。それは当然の結果かもしれない。
そして、彼女もまた、そうだったのかもしれない。
彼女は妻以上に、自分の気持ちをあまり話さないで、自分の中に溜め込んでしまうタイプの女だったので、それを察してやれなかった自分には、彼女の気持ちを理解することなんてできなかったのかもしれない。
女は、いつでも気持ち、気持ちと、見えないものを重視する。
自分の気持ちさえ、ときどき分からなくなると言うのに、自分以外の相手の気持ちをそんなに簡単にわかるはずが無いじゃないか。