*最初で最後の愛しい君へ*
-出会い-
家を出てから耳にイヤホンを差し込み、音楽を聞きながら登校していた。
学校まで後少しというとこまでくると走ってきた人にぶつかりバランスを崩す。
「っ…!!」
慌てて体勢を戻そうとするが間に合わず塀に身体を打ちつけた。
「…ぃ…、っ…!!」
「いってーな!!急に飛び出してくん………あり?オイ、大丈夫か?」
「…!!?」
身体の痛みに耐えていたせいか相手の言葉に気付かず驚いてしまった。
「身体、大丈夫か…?」
「…平気…」
塀を使い身体を立ち上がらせる。
「なぁ、お前、転校生か?」
「そう…転校生」
若干嫌そうな顔するも素直に答える。
そんな表情を読み取った相手が
「…一緒に学校行かねぇか?道、わかんないだろうし…」
というけど、実際は道わかんないと言われてもこの道を真っ直ぐ行けば学校につく。
「(…バカなんだ)」
とどこか納得した表情で相手を見た。
可哀想だと思い学校までの道のりを聞くことにした。
「学校、教えて」
それを聞いた相手は嬉しそうな顔をして頷いた。
「よっしゃ、任せろっ!!…そういえば、自己紹介まだだよな?俺は春風…」
そこで一瞬止まりガサガサとカバンを漁りだした。
「春風…何?」
「読めるか?」
そういうと"疾風"と書いてある紙を渡してきた。
しばらく紙を見つめていたがわかったのか口を開いた。
「…はやて…」
「!!?」
その言葉に疾風は驚いた。何故ならホントの名前を呼ばれたからだ。
呆気にとられていると、今度は僕の番、と呟き
「…僕、柚木…」
とだけ言っておいた。
お互い自己紹介すると時計を見た疾風が慌てだした。