スノー*フェイク
『…そ、そうですよね!来年は一緒にケーキ、食べれると良いですね』
泣きたい衝動に駆られながら、どうにか笑顔を作った。
……そうだった。
あたし、先生のことが好きだって認めたばっかりなのに…。
『(…失恋はっや)』
もはや苦笑の域だよ。
俯いたまま動けないでいると、店員さんがケーキを運んできた。
ま、待ちに待ったケーキ!
「こちら、ご予約いただきましたオリジナルケーキでございます」
大きなお皿に乗ってやってきたのは、ブッシュ・ド・ノエルだった。
あの、切り株をモチーフとした可愛いケーキだ。
『た……た、食べて良いですか!?』
「ははっ!おう、存分に食べて良いぞ」
豪快に笑った先生に背中を押され、あたしはケーキを口に運んだ。
……おっ…
『美味しい!!え、なにこれめっちゃ美味しい…!!ふわーって、とろけますよ!え、これケーキ!?ブッシュ・ド・ノエルじゃないみたい!!』
きゃあきゃあと感激しているあたしを見て、蕪城先生はずっと笑い続けていた。
…そ、そんなに笑わなくてもっ…。
「なァ、食べたことある食感だと思わないか?」
その問い掛けに、思い当たる節があった。