スノー*フェイク
…蛇みたいな、眼をしてる。
『(…そんなこと絶対、今言えないけどねっ…!)』
蕪城先生はジロリと抑揚のない眼差しをあたしに向けたまま、口を開かない。
居心地の悪さから少し身体を捩ると―――逃がすかと言わんばかりに、顔の両側に手が置かれた。
…誰の、なんて1人しかいない。
言うまでもなく、蕪城先生の両手だ。
『か、蕪城先生っ…!ち、近っ…』
真っ赤になっているだろう顔を背ければ、何故か視界の端で蕪城先生は露骨に顔を顰めた。
……なんで…?
そう、問い掛ける暇もなく。
「俺が言いてぇこと、わかってんだろ…?」
ぞく…っ
耳元で囁かれたそれに、思わず肩がびくりと跳ねた。
蕪城先生はそんなあたしを見てクッと喉を鳴らし、深い闇色をした目で見つめてきた。
「ああ、嫌な思いはしたくねぇよなァ。…さっさと白状しろ、俺は怒ってんだ」
…なにをそんなに怒っているのか、わからなかった。
だって、開き直るけど嘘を吐いただけじゃない。
ドタキャンされてぶちギレるほど……そんっなに、お茶会楽しみにしてたわけ!?
一方的に責められてることが気に食わなくて、あたしはキッと蕪城先生を睨み付けた。