同じ孤独を感じている
A side 蓮見

その日の私はバイトが終わると、珍しく寄り道をせず真っ直ぐに帰宅した。


いつもならコンビニに寄って、酒や雑誌を買っては夜更かしをするのに。


そんな余裕が無かったのかもしれない。


家に着くとすぐ、私は部屋のベットに倒れ込んだ。


右手には一枚の紙切れ
左手には携帯を持って。


『市ヶ谷…光…。』


改めて呟く彼の名前に、軽く眩暈をおこした。


この状況は初めてではない。
今までも、お客さんに連絡先を渡されたり、逆に聞かれる事も何回もあった。


そのたびにスルーをして、連絡先を渡されてもすぐに捨てていた。


けど、今回はいつもと違う。


私の右手には、彼の連絡先がしっかりと握りしめてある。


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