この声が枯れるまで

『だから…何?』

私はこう答えるしか出来ない。

『タクミが好きなの?』

『何でそうなるのよー!頭おかしくない?』


どうしてそうなるのか、訳が分からないでいた。光輝は何を考えているのだろうか?


『でもあんなに楽しく喋ってたじゃん!!』



『あんたには関係ないでしょ?それに好きじゃないし』


私は帰る支度をしながら言葉を並べていく。


『そっか…』


すると光輝は静かにこう言って、小さく微笑んだ。

私はそんな光輝を見て、体が熱くなった。
こんなに体が熱くなったのは初めてだ。

でも光輝の薬指に、
指輪が光っていた。



『…彼女…いるんだ…』


私は小さい声で言う。
なぜかショックを受けている私。


心がぎゅっと痛い。
どうして…なんで?
初めての経験に、私は戸惑ってしまう。



光輝と話していたら、
いつの間にかホームルームは終わっていた。


『じゃあ百合、うち行くな!』


『あっゆかばいばい!!』

ゆかは私に手を振って教室から出て行った。


ふと隣を見ると光輝の姿はなかった。


何故か落ち込む自分。
すると廊下から私を呼ぶ声がした。


『百合ー帰ろ!』



窓から顔を見せるのは未紗だ。
私は鞄を持って教室から出ていく。


そしてまたバスに揺られ、地元へと戻るのだ。




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