この声が枯れるまで

『じゃあ帰りね!!』


『ばいばい!!』


私は未紗と別れ、教室に入った。
教室には、もうゆかが居て、ゆかは疾風君と仲良く喋っていた。


『ゆ~か!!おはよ』


私は二人の間に入って、朝の挨拶をする。

『百合、おはよ!!』


今日のゆかの笑顔も可愛い。
嬉しくなるの。

『疾風君もおはよ』


『おはよ!』


『あれ?タクミ君は?』

疾風君はいるのに、
タクミ君の姿はない。
まだ来てないのだろうか?


『やっぱりタクミ君に気があんじゃん…』


すると隣から声がした。それは光輝しかいない。


『げっ…いたの?』


私の顔は引きつり、その顔のまま光輝をみた。

『なんだよ!!げって』


『だって嫌なんだもん!!』


私はドカッと椅子に座り、鞄を横に掛けた。

『はっきり言うね~?
俺だって嫌だ』



『うるさい!!』



『ほら、百合も光輝もやめなって』

こう言いながら教室に入ってきたタクミ君だ。
タクミ君を見ると昨日のことを思い出して、一気にテンションが上がる。

『あっタクミ君おはよ』

『おはよ、やっぱ百合と繋がりあったんだな!!』

『そうだね…でも…パパね?変な事言ってた…』

『変な事?』



『タクミ君から何か聞いたかって!!』


『どういう意味だろうね?それ…』



『分かんないけど…パパ…あれから元気ないんだ…』


曇っていく私の表情。
やはりパパのことを思うと泣けてきてしまう。


『そっか…一回親父に聞いてみるよ。あっダメだ…親父出張だわ』



『ううん…ありがとね?』


『いちゃこくなら外でやれ』


すると突然光輝が私たちの会話を裂いた。


『黙っててよ!!』


私は光輝を睨みつけてこう言う。
光輝はふてくされたように、向こうを向いた。




< 14 / 126 >

この作品をシェア

pagetop