この声が枯れるまで
―キーンコーンカーンコーン。
もう聞き飽きたこの音が学校全体に響く。
『やべっじゃあね、百合』
『じゃね~ゆか』
タクミ君と疾風君が焦りながら今日を出ていく。私とゆかはそんな二人に手を振る。
『ばいばい』
『ほなね』
二人がいなくなると、
私はゆかに笑顔を向ける。
だって応援するって決めたから。
『ゆか!!順調じゃん!!』
『やめてや~…恥ずかしいわ…』
『照れちゃって♪』
ゆかの頬を指先でつつく。
そんな時、光輝が私の制服の裾を掴んだ。
『なぁ!!』
『私、なぁっていう名前じゃないんだけど?』
意地っ張りな私。
でも…体は熱いまま。
『じゃあ…百合?』
光輝に名前を呼ばれただけでこんなにも嬉しくなるなんて…なぜ?
『あんたに百合って呼ばれたくない!!』
私はこんな態度しかとれないようだ。
素直になんかなれない。
『俺あんたっていう名前じゃないんだけど?』
『じゃあ何よ?』
光輝を睨みつけてこう聞く。
『光輝!!』
『こう…き』
『おう!!これからそう呼べ!!』
『………うん』
光輝って呼ぶだけで、
緊張してしまう私がいる。
光輝に百合って呼ばれるだけで、私はおかしくなる。
『それって…恋じゃない?』
私はこの言葉にハッとなる。
隣では楽しそうに恋の話しをしている女の子達がいた。
恋…?
私は一度も恋なんかした事ない。
だから、
恋はどういうモノなんて知らない。
パパ?
あなたは…
恋をどれくらいしてきたの?