この声が枯れるまで
光輝が黙ったまま、何も言わないから、私まで恥ずかしくなってくる。
『…光輝?』
『別に!何でもねぇよ?』
光輝はいつも通りに戻り、私の勘違いだと、この時は流した。
『ふ~ん。光輝…パパのファンなの?』
『おう。俺、優さんの写真みて、その中の世界に吸い込まれた』
私もそう。
パパの写真を見ると、その世界に吸い込まれる。光輝と同じ気持ちで嬉しかった。
『パパ…そんなにすごいかな?』
『すごいよ?お前の親父が優さんとか、まじ羨ましいし』
『私の自慢のパパだもん!!』
『自慢するだろ~あんな有名ならさ』
『パパかっこいいしね!!』
『そうなん?』
『うん!!』
もっと、もっと、光輝に聞いて欲しい。
もっと、もっと、私のこと知って欲しい。
私って欲張りかな?
~♪
すると光輝の携帯が鳴りだした。
『光輝?…携帯…早くしないと先生来ちゃうよ?』
教室の前にある時計を見て教えてあげる私。
『どーせ彼女だから』
ドクン…
この言葉に揺れる。
『ほっとくの?』
『…俺ちょっと抜ける』
そう言うと、光輝は教室から出て行った。
ドクン…
ドクン…
まだ私の鼓動が動いている。
それと同時に、
まだ味わった事のない、感覚に陥った。
光輝の彼女が羨ましい
という気持ちになった。
私ね、
まだ分からなかったの。好きとか
ヤキモチとか。
パパと同じ道を、
私は歩んでた。