この声が枯れるまで

『歩さん…パパの高校時代…どうでしたか?』


『楽しかったよ…優は、いつも一人で悩んでた。一人で抱えこんでいた…でも最高のダチだよ』


『パパは…幸せでした?』

『…幸せだったよ…きっと…』



パパは幸せでしたか?
私ね、
全然パパの事知らなかった。
ごめんね…パパ。



『私…帰ります…』


カバンを持ち、私は立ち上がった。

『百合ちゃん?』

不思議そうに見つめる歩さんと沙紀さん。
そんな二人の視線を受け止めることが出来ない。


『用事思い出して…』


『百合?』


『タクミ君…ありがとうね』


『送るよ』

『ありがとう』


これ以上聞くのが怖がった。
聞けなかったの…

どうしても我慢出来なかった。
パパに隠し事があると
思えば思う程、涙が出そうになるから。

私はその場所から逃げた。


『百合…?』



『パパ…本当に幸せだったのかな…』


『え?』


『多分…パパは高校時代…何かあったんだよ…』

『…そうかな…』


上を向いてこう言うタクミ君。
私はそう思う。
パパになにかあったと。

『はぁ~…』

『お父さん大好きだね』

『うん…あっ!!私、タクミ君に聞きたい事あるんだ…』


『何?』


私は聞きたい。光輝の事を。


知りたいの。
彼のことを…




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