この声が枯れるまで
~第二章・初めての恋~
恋って変なもの。
いつ、どこで、
恋が始まっていたなんて、知らなかった。
気付けば、あなたを見ていて、あなたと話せば体が熱くなって…
恋をすると、
あなたしか見えなくなる。
あなたが輝いてみえる。私…初めてするからかな。
よく分からない。
心臓が、息が、体が、
おかしくなってしまう。
これが初めて体験する、
恋───…なんだ。
『おはよ…』
『百合!おはよ?元気ないね?』
未紗が心配した面持ちで私に話かけてきた。
『はぁ~…』
私は未紗の顔を見て溜め息を漏らす。
なんか、気分がのらないの。
『いつもの百合らしくないね?どうしたの?』
未紗に私は恋をしたなんて言えなかった。
恋をしたことない私が、いきなり恋したなんていうと、笑われそうで怖かったから。
恋なんて、ただ話を聞いてもらえるだけでも、
幸せな事なのに、
今の私は、恋に素人だから、話せないでいる。
だから私はとっさに嘘をつく。
『ん~…バス酔い!』
『なぁんだ』
未紗は安心したように、携帯を開く。
本当にバス酔いしていた。
もう少しで光輝に会えるという、嬉しさと、緊張さで、気持悪くなっていたのだ。
―清秀高校前…
バスが目的地に着く。
私たちはバスの中から降りた。