この声が枯れるまで

リビングの可愛い時計を見ると、
まだ針は6時前だった。

『…寝よっかな…』


私はもう一度寝る前に、冷蔵庫を開け、
お茶を取りだし、コップに注いだ。
それを勢いよくお茶を飲み干すと、『はぁ…』とため息をし、部屋に戻って行った。

私の部屋はまだ薄暗くて、目の悪い私には、あまり見えない。
私は一先ず、ベットに横になり上を見た。
天井の白い壁紙が、所々黄色に変色をしていた。
多分太陽のせいだろう。
私はその黄色に変色している天井を見ながら、やはり光輝の事を考えていた。

『…むずかしいな…』

光輝には彼女がいて、
私が光輝のスペースに入る場所などない。
いや、光輝の中に入れない。
入る事は出来ない。
入らなくてもいいから、光輝の笑顔が見ていたいと、思った。

だんだん瞼が落ちていく。


───………


―コンコン─…


誰かが部屋のドアをノックする。


『ん…?』

私はその音で目を覚まし、体を起こした。


『百合?早く起きなさい?』


『はーい』


私は再び洗面所へと行く。
冷たい水で顔を洗い、完全に目を覚ます。


これで準備完了だ。




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