この声が枯れるまで
『おはよ!』
私は元気に教室へと入って行った。
『おはよ、百合!』
『ゆか!おはよ』
私はゆかに笑顔を見せて、席に座る。
隣の光輝は、まだいなかった。
最近、私はこの生活に慣れてきた。
光輝を見る度、ドキドキするけど、もうそのドキドキにも慣れてきた。
『百合ー?そんな悲しい顔しんでや?』
『えっしてないよ!
ねぇ?ゆか?疾風君とどうなったの?』
疾風という言葉を出した瞬間、ゆかの顔が茹でタコみたいに赤く染まった。
『え?あ~…付き合ってるんやわ…』
『へぇ~付き合ってるんだぁ!…えぇ!』
『なんやの?その反応!』
『だって…嘘?』
『嘘ちゃうよ、ほんまやで?』
まさか付き合っていたなんて知らなかった。
恋が実ったのだ…ゆかの恋が…
『そっかぁ…良かったじゃん!すごく嬉しい!』
『ありがとう。言わないかんなぁ…って思っててんけど、恥ずかしくて…』
『いいよ!良かったね、幸せにね』
『ありがとう!』
ゆかは照れた笑顔を私に見せてくれた。
彼氏が出来ると、こんなにも可愛らしくなるんだ…と私は思った。
私にも、いつか、ゆかみたいな笑顔になれるかな…