この声が枯れるまで
ゆかが疾風の事を嬉しそうに話してくれた。
私はそんなゆかを幸せそうだなぁ…と思いながら見つめていた。
そんな時、教室のドアが激しい音と共に開いた。
その犯人は、光輝だ。
光輝は、眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに席に座った。
教室はシーンとなったまま。
私はそんな光輝が心配になる。
『…こう…き?どうしたの?』
恐る恐る声をかけると、光輝は私を睨みつける。今朝の楓と同じ。
だけど楓より遥かに怖い…
『あ?別に?』
『人が折角心配してるのに!』
内心怖がったが光輝に笑顔がないのは嫌だ。
『……悪い』
『どうかしたの?』
私は光輝をこれ以上怒らせないように、柔らかな口調で話す。
『女ってさ?何考えてるか分かんないよな』
『どうして?』
『彼女が俺の事好きか不安なんだわ…』
私は次の言葉に詰まる。《彼女》と聞いて、私は変なやきもちを妬いてしまう。
『…光輝は…彼女の事好き…なの?』
『…うん…好き』
私は下を向き、唇を噛み締めた。
私の今の心境を気付くかのように、間からゆかが入る。
『百合…?』
『ふぅーん。光輝が好きならそれでいいんじゃないの?』
私はそう光輝に投げ捨て、教室から出て行った。
込み上げる涙を必死におさえて。