この声が枯れるまで


私…パパの笑顔が好き。パパは私の自慢のパパだ。
かっこいいし、家族思いだし、それにママとケンカしてるとこなんか一回も見たことない。

ママもパパと同じくらい大好き。
美人だし、優しいし、怒ってくれる時は怒ってくれる。
自慢のママ。

でも、パパの昨日の顔が気になる。
あの…悲しい表情。
頭の中から離れないよ。

『百合今日学校頑張れよ?楓も。二人共入学式だろ?』


『うん…入学式だよ。頑張る!!』


サラダをフォークでさして、勢いよく頬張る私。

『俺はあんま変わらないし~頑張る事ないよ』


楓はめんどくさそうにこう言う。
そんなパパは新聞を丸めて楓の頭を軽く叩いた。

『頑張れよ?』


そしてパパはブラックコーヒーを口に運ぶ。

私は少しそんなパパにみとれてしまった。


『百合?もうすぐで8時よ?』


『あっへ?えぇ?!
やばい!準備しなきゃ!』


このままだと遅刻をしてしまう。
私は急いで部屋に向かった。


部屋へと着くと鏡の前で悪戦苦闘している自分がいた。


『あ~うまく巻けない!!』

大きな独り言呟く私。
髪の毛がうまく巻けないから困っているのだ。

私の部屋には、
大好きなぬいぐるみと、大好きなパパが撮った写真が飾られている。


それが私の部屋。


『あっうまくできた!!』


私は髪の毛を綺麗に巻髪をし、バレない程度に化粧をして、まだ着慣れない制服を着る。

今日から高校生。
制服を着ただけで気分はどんどんと上がっていく。




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