この声が枯れるまで
その夜、私には未だに笑みがあった。
大好きなぬいぐるみを抱いて、光輝の事を考えていた。
『…応援するって…決めたのに…無理だなぁ…』
《叶うと思えば叶う》
そうパパが教えてくれた。
パパも誰かに教えてもらったらしいが、その誰かは教えてくれなかった。
パパに教えた人は誰なのだろう。
私は気になっていた。
時々見せるパパの悲しい瞳が、私の脳裏に焼き付いて、離れてくれない。
そんな時、
私の携帯の着信音が煩いくらい響く。
お気に入りの歌手の歌。私はぬいぐるみを離し、充電されていた携帯を手に持った。
『誰?』
携帯の画面を見ると、
知らない番号からだった。
私はおそるおそる通話ボタンを押した。
『もしもし?』
聞いた途端、すぐ誰か分かった。
この声は、光輝だ。
『こっ光輝!?』
案の定、私の声は裏返った。
『ははっどんな声だよ?』
そんな私の声を聞いて、光輝は耳元で笑う。
『びっびっくりしたの!』
『まぁいいや!あんな、いい話してやる!』
光輝が言った、いい話とは、光輝にとったらいいかもしれない。
でも…そんな話…聞きたくなかった。
あなたの口から…
そんな話を─…