この声が枯れるまで

『いい…話?』

『おう!』

『何?』

『お前彼氏いなかったよな?』


『うん』


私は床に座り、ベッドにもたれ掛かり、光輝との会話に集中する。


『お前好きなやつもいなかったよな?』


いると言ったら、誰?と聞かれそうで、いるとは言えなかった。
だから反対の『いない…』と答える。


『実はな、俺のダチが、お前を前に見たことあって、一目惚れしたらしいんだ!』



『えっ…』



言葉が出ない。
そんな私を置いて、
光輝は淡々と話し続ける。

『だから仲良くしてやってくんねぇ?』


『はぁ…?』


『だから今日連絡先聞いたの!多分そいつから連絡くると思うし!』



『ちょっと…自己中すぎ…』


光輝の発言が私にとって自己中心的な発言に聞こえる。
光輝は悪くない。
だけど…聞きたくない。

『そうか?いいじゃん!そいつかっこいいし、悪くねぇから!んじゃあな!』



―プツ…ツーツー……


一方的に切られた電話。待ち受け画面には、
《電源ボタンを押してください》と写し出されていた。


電話がきた時の私の笑みは、完全に消えて、光輝の言葉だけが、私に残っていた。

今日、光輝が私に連絡先を聞いたのは、私を好いているのではなく、私の事を好いてくれている友達の協力の為。


身勝手すぎる…
私はベットの上で、携帯を握ったまま涙を流した…


あなたは私のこと…



好きになってはくれないの─…?




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