この声が枯れるまで
しばらくすると、
再び私の携帯が鳴った。私は光輝からかなと期待するが、違った。
さっき光輝が言っていた、私に一目惚れをした人からだった。
《こんばんわ!俺、光輝のダチの北野修(きたのしゅう)って言います!光輝から聞いてるよね?》
ぼやける目で、私はそのメールを見た。
仕方なく、私はそのメールに返信をする。
《うん!聞いてるよ?私は鈴木百合って言います☆》
相手が光輝だったらいいのにと、私は何回願っただろう?
でも光輝は私の恋を気付いてくれていない。
光輝に気付いて欲しい。でも気付いたら、この北野君も、光輝の彼女も、傷つけるだろう。
私はそんな事したくない。
だから光輝には気付かせないようにする。
粉々になった私の恋心を、癒してくれるのは誰だろう?
まだ私には分からない。
それが誰か。
私はモヤモヤとした煙を心に覆ったまま、その夜、北野修とメールをし続けた。
苦しい胸。
零れ落ちる涙。
こんな姿をあなたは知らないでしょう?
恋は、苦しすぎる。