この声が枯れるまで
ゆかに全てを話し、私の中のモヤモヤしたものが少しだけ消えた気がする。
『あっ百合!』
『タクミ君!』
私が自販機でジュースを買っていた時、横からタクミ君が現れた。
『元気?』
こう言って、小銭を自販機に入れるタクミ君。
『うん。相変わらずね』
『百合、そういえばまた親父が会いたいって言ってた!』
ボタンを押し、ジュースが落ちてくる。
そのジュースをタクミ君は取り出し、私を見て微笑んだ。
『本当?また空いてる日にお邪魔するね!』
『絶対な!』
『うん!ばいばい!』
私も丁度、歩さんに会いたかった。
パパの事を詳しく聞きたかったから。
歩さんが知っている事…全て聞きたい。
そういう思いが強かった。
『百合!』
『何?』
私を呼び止めたのは、光輝だった。
『今日、修が会いにくるって!』
『え?いきなりすぎじゃない?昨日知り合ったばっかりだよ?』
『うん。まぁなんとかなるでしょ?学校終わったら門のとこな!』
私にこれだけを告げて、去っていく光輝。
『えっちょっ…光輝?』
光輝は振り返り、ピースサインを作った。
『大丈夫!安心しろ!あっ右目冷やしとけな!』
『え…右目?』
光輝…もしかして気付いてたの?
私の右目が腫れる事。
光輝…あなたは、私の心を癒してくれる?