この声が枯れるまで
とうとうこの時間が来てしまった。
『百合!また明日なぁ!』
『うん!ばいばい!』
ゆかが疾風君と仲良く手を繋ぎ、教室を出ていった。
私は何も考えず、ただ座っていた。
『はぁ…今から会うんだぁ…』
今から昨日知り合った修と会うのだ。
何故か緊張している私。
光輝…もう門にいるかな…
私は、教室から門の方をちらっと覗く。
そこにはもう光輝がいた。
『…鈍感…』
門の前に立つ光輝に向かって、ボソッと呟く。
私は光輝を見つめていた。
すると、光輝が私の方を見て手を振った。
何か言っているけど、聞こえない。
窓を開けると風が吹いた…。
優しい風が…。
『うわぁ…光輝ー?なに?』
『早く来いって!修くるぞ!!』
『あ~…はいはい』
私は窓を思いきり閉め、鞄を持って教室を出た。やはり光輝は鈍感らしい。
『光輝の馬鹿!』
大きな独り言は周りにいる人に聞こえていただろう。
でもそんな些細な事でも、私にとっては嬉しい事なんだ。