この声が枯れるまで

あの光輝の顔が離れない。
何であんな悲しい瞳をするの?

何で?
何で?

私の頭の中に《何で》がグルグルと廻っている。

『…り?百合?』

『えっ?』


気がつくと、修君は不思議そうな顔で私を見ていた。


『あっ…ごめん…えっと何だっけ?』


『ううん、何でもないよ。そろそろ帰ろうか?』


『本当にごめんね?』


『謝る事ないよ?じゃあ出よっか』


修君はテーブルに置いてある、伝票と光輝のイチゴパフェ代を持ってレジに向かう。
私もその後をついていった。


『あっ私払うよ!』


鞄から財布を出そうとすると、修君の手が私の行動を止めた。


『いいって!払わせてよ?今日のお礼!』


『あっありがとう…』


修君はどこまでも私に優しくて、すごく魅力的な人。

光輝と違って、意地悪じゃないし、
光輝と違って、口悪くない。

でも、そんな光輝が好きなんだ。


『百合、今日楽しかった?』


暗い夜道には外灯があまりない。
そんな中、私達は歩いていた。


『うん!楽しかったよ!』


『そっか…良かった』



照れた笑顔を見せる修が、可愛くみえる。
でも、私の頭に、光輝の瞳が焼き付いていた。




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