この声が枯れるまで
―清秀高校前。
バス内にアナウンスが流れる。
未紗と喋っていたら、すぐ高校に着いた。
学校にはたくさんの人と、ヒラヒラと舞う桜の花びら。
『何か楽しくなりそう!!』
『行こ~!!』
私と未紗は、楽しそうに走って校門をくぐった。この弾む胸は、なにを表しているのだろうか?
私達はクラス発表のある掲示板を見に行くため、大勢の人の中に埋もれていた。
すると私は人混みから、ある人を見つけたの。
桜の木の下に、ボーっとしている人がいた。
私はその人に目が奪われる。
背はそこまで高くないが、華奢な体をして、茶色の髪の毛。
雰囲気がすごく爽やかでかっこいい人。
私はしばらく見つめていると、その人が私に気がついた。
『あっ…』
慌てて私はこんな言葉を発してしまう。
『…何?』
彼の瞳が真っ直ぐで。
魅力的だった…
言葉が出なくなってしまった私は、黙ってしまう。
『見んなよ』
するとこう彼が言って、視線を逸らした。
今までドキドキしていた心臓が、彼の言葉で、一瞬にして止まった。
そして、彼への第一印象は最悪。
私は未紗に、『うざっ』と愚痴を零す。
『え?何が?』
未紗は驚いて辺りを見渡す。
『あの人!!』
『どれ!?人多すぎて分かんない!!』
『…いなくなっちゃった…』
私はさっき彼がいた場所を指差したが、もうそこには彼の姿はなかった。目に映るのは、桜色だけ。
『そっか~見たかったな!』
『最っ悪!』
あなたへの印象は、
最悪だったんだよ…。
でもどうしてかな。
もう私の心は奪われていたの。