この声が枯れるまで

─…夕方の空は何故か落ち着く。
オレンジ色がとても鮮やかだ。


『告白か…』


沈む夕日を秘密の場所から見ながら呟いた。
告白は結果が全てじゃない。
それまでの過程が大切なんだ。
恋に未熟者の私が考え出した考え。


『告白…告白…無理かな…好き…好きです…』


私は一人告白の練習をしていた。


『やっぱ無理だぁ…』


こう断念をしていると後ろから声が聞こえた。


『…百合?』


『こっ光輝!?』


私の目の前に光輝が突然現れたのだ。
次第に緊張しだす私。

今の告白の練習聞こえてたかな…


『百合、独り言言ってんなよ。馬鹿みたい』


案の定聞かれていたみたいだ。

『うっうるさい!光輝こそ何やってんのよ!こんな場所で!』


『あ?俺?俺、ここ大好きなんだ』


『光輝も?』


『光輝も?って事は百合も?』


『うん、小さい頃よくパパに連れてきてもらったの。大好きな場所なんだ!』



光輝は私の隣に座り、
一緒に街を眺める。


『そうなんだ。あっ百合…今日写真ありがとな?あの時テンション下がってたから、ちゃんと言えなかったから』


『うん…いいよ!でも今日何でそんなにテンション低かったの?』


『彼女とケンカしたから…』


今の私には、『そっか…』しか言えない。


だって…励ます力などないから…




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