この声が枯れるまで


やっと私達は掲示板を見れる状況になった。
必死になって名前を探す。


『未紗…あった?』

『あっあった!私1の3!百合は1の2だよ!』

『え~同クラじゃないじゃ~ん…つまんないの~』


未紗と同じクラスになれますように、とあれだけ昨日願ったのに叶わなかった。
私はがっくりと肩を下ろす。


『友達作るのにいいじゃん!頑張ろ!』


未紗は笑顔で私の肩を叩いて言う。
未紗を安心させるために、笑顔を見せた。
本当は不安で仕方がなかったのに。


そして私達は別々のクラスに向かって行く。
新たなスタートを目指す。

『じゃあまた帰りね?』
『ばいば~い』

未紗と別れ、新しいクラスに入る。

クラスに入ると、もう既にグループが出来ているようだった。


『あ~出遅れちゃった…』

私は黒板に貼ってある、座席表を見て席に着く。

『真ん中の…前から4番目~…』


私は真ん中の列の前から4番目に座った。
ここが私の席。

隣の席の男の子の名前は、坂井光輝《さかいこうき》という人。
まだその人は来ていなかった。


『はぁ~…友達欲しいな~…』


そう思った時、私の右肩を誰かが叩いた。

『ねぇ友達にならへん?』

その子は私の後ろの席の子。



『えっ私?』


『そうそう!!』


笑顔がとても可愛くて、なにより《友達》という響きが嬉しくて直ぐに返事をする。


『うん!!なろ!!』


『良かった~うち知ってる人おらんかって…不安やったんやわ~』


『私も!!』


『名前何ていうん?
うち相模ゆか《さがみゆか》っていうねん』



『私、鈴木百合!よろしくね!』



スタートしたばかりの高校生活。
楽しくなりそうな予感を感じた。





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