この声が枯れるまで

『ただいまぁ!』

玄関のドアを開けると、夕飯のいい匂いが鼻に入ってきた。


『今日は私の好きな…ハンバーグ!?』


この焼かれて焦げたいい匂いはハンバーグに違いない。
急いでリビングに向かう私。


『ママ!今日はハンバーグ!?』



興奮しながらリビングに入ってきた私を見たママが驚いた表情を見せた。

『ゆっ百合…おかえり。そうよ?百合の好きなハンバーグ。早く着替えてらっしゃい』


『はーい!』


私はリビングを出て、上機嫌のまま部屋へと着替えに行く。
そして部屋着に着替えて再びリビングに向かった。


『いただきまぁす!』


私はペコペコのお腹の中に、大好きなハンバーグを一口入れた。


『おいひぃ!』


『百合は本当におかしな子ね』

笑いながらママが言った。

『百合、ゆっくり食べなさい』



お茶を飲みながらパパは言う。


『姉ちゃんってガキだね』


楓もハンバーグは大好物。
大きな口を開けて頬張った。


今日は珍しく家族4人で夕飯を食べていた。


『久しぶりだね。みんなで夕飯食べるの』


『そうね、なかなか予定合わなかったものね』


『ねぇ…パパ…ママ?』

私は箸を一旦置き、肩を並べるパパとママを真っ直ぐ見つめた。


『ん?なぁに?』
『何だ?』



私は聞いてみたい。

私の由来を…




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