この声が枯れるまで
『私の名前の由来とかってあるの…?』
この言葉を言った瞬間、パパとママの動きが止まった。
パパとママは黙ったままで何も言わない。
『…どうしたの?』
私は心配になり聞いてみる。
するとパパはにこりと笑い、言葉を並べた。
『百合にはまだ早いな、その話は…ね、ママ』
『そっそうね』
『じゃあ俺の名前の由来はー?』
間に無邪気に楓が入ってくる。
『楓にもまだ早いかな』
『ふーん』
パパ?ママ?
まだ早いって何?
私にはまだ教えてくれないの?
今私に知られたらまずいのかな…
『おいしかった…ごちそうさま!』
私はこの空気に耐えれなくなり、急いでハンバーグを口に含み、部屋へと戻った。
『…私…知りたかったなぁ…あっそうだ…タクミ君にメールしてみよ!』
私はアドレス帳からタクミのアドレスを探し、メールを打っていく。
タクミのお父さんなら、私の名前の由来を知っていそうだったから。
この前、家を訪ねた時、私の名前を聞いて《優らしいな》って言っていたのを覚えていたから。