この声が枯れるまで
『よろしくな~!!うち大阪弁やけど気にせんでな?最近引っ越したばかりやねん』
『全然気にしないよ!!
大阪弁可愛いじゃん!!』
白い歯を見せてゆかに微笑みかける。
『ありがとう』
ゆかは笑うと可愛くて、ゆかの笑顔は癒されるんだ。
『百合は彼氏おるん?』
突然ゆかは私に聞いてきた。
私は頬を染めて下を向いて言う。
『いないよ~』
『そうなん?いると思ってたわ!百合可愛いし』
『可愛くないよー!!』
ゆかは笑いながら『可愛いで』と私を誉める。
慣れていない言葉を言われると照れてしまう。
ゆかと楽しく話をしていたら、教室に、第一印象最悪な彼が入ってきた。
私の顔は引きつる。
あの先ほどの光景が蘇る。
その人は私の隣で足を止め、座った。
『あっ』
そして私を見るなり、いきなり声を漏らす。
低い声。でもどこか甘い、
私の体は反応をする。
『…何?』
『俺を見てた人だ』
『はぁ?何か勘違いしてない?』
私は彼を睨みつけて、言う。
『見てたじゃん?』
怪しく笑う彼。
なにか企んでいそうな顔だ。
『見てない!!最悪!!』
私はその人に背中を向ける。
もう話などしたくない。
『何?百合?仲良いの?』
『全然!!』
隣の席が最悪な彼。
その最悪な彼の名前は、坂井光輝。
この名前は一生忘れる事はないだろう。