この声が枯れるまで


―入学式が始まります。体育館に移動して下さい。
校内に響き渡るアナウンス。
それに従うように動く生徒たち。


『百合体育館行かへん?』

『行こっか!』

私とゆかは体育館に行った。

体育館に着くと、
誰かが私達に話しかけてきた。


『ねぇねぇ~何組?』



『え?うちんら?』とゆかが答える。


そこには、髪が金髪で、身長が高くて、かっこいい、二人の男の子が立っていた。


でも私の心臓は、光輝みたいに動かなかった。


『うちら2組やで!』


ゆかが営業スマイルでこう答える。
私はそれを見ているだけ。

『俺ら1組!仲良くしてね。』


『よろしくね!』

ゆかは元気よく返事をするが、私は苦笑いだけをしておいた。
あまり関わりたくないから。


『てか…君名前なんて言うの?』


すると二人のうち一人の子が私の名前を聞いてきた。


『私?…私…鈴木百合…』


『え?本当に?』


その子は瞳を輝かし、私を見つめる。


『何で?本当だよ?』


『俺…君知ってるよ』



私はその人の言っている事が分からなかった。



『…え?』



『君の親父と俺の親父…友達だよ…確か。覚えてない?』



そう言われてもその人の顔を見ても分からない。


『分かんない~…』


『小さい頃会った事あるよ』



『本当に?家帰ったら聞いてみるね?』



私は思わぬ偶然に胸を弾ませる。
これも何かの出会いなのかな?





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