この声が枯れるまで
『カメラマンだよ…』
その言葉を聞いた私の涙は…加速を止めず、流れ続ける。
『パパ…パパ…』
『百合ちゃん…優を憎んだりしないでな…
優は百合ちゃんを愛しているから…今も…』
『歩さん…ありがとう…沙紀さんも…私ね、パパを憎んだりしないよ…パパは…パパは辛い恋をしてきて…多分ね…今幸せだと思うの…そう信じたい…』
テーブルに置かれていたアイスティーのグラスは、まるで泣いているように、グラスに水滴がいくつも、ついていた…。
『歩さん…沙紀さん…タクミ君…今日はありがとうございました…何だか…すっきりしました!帰ったら…パパに詳しく…聞いてみます…逃げずに…聞きます』
『百合ちゃん…ごめんね、俺が…いろいろ話してしまって…』
『いえ!大丈夫です!』
『それならいいんだ…気を付けて帰るんだよ…』
『百合!送っていかなくて本当にいいのか?』
『大丈夫大丈夫!まだ明るいし!』
『百合ちゃん…鈴木君と奥さんに宜しくね?』
『はい!じゃあ、帰ります!ありがとうございました!さようなら!』
私は手を大きく振って、タクミ君の家を出て行った。
今日は一人で青空の下を歩きたいと思ったの。
この清々しい気持ちのまま…あなたに会いたくなりました…。