この声が枯れるまで
~最終章・この声が枯れるまで~
今、私はどこにいるのだろう?
真っ白で、色がない世界。
…思い出した。
ここは、あの夢の中だ。前によくみた、あの夢の中だ。
でもこれは夢?
何があったのか思い出したくても、頭の奥が痛くて、思い出せないでいた。
私はとにかく前へと歩いた。
道のない、真っ白な世界に一人、ぽつんといる私。
『ここどこ?』
その世界には私しかいなくて、すごく不安になる。
『また…会えたね』
すると、どこからか声が聞こえた。
私は声の聞こえるへと振り返る。
『…また…あなたなのね…』
そこには、以前、夢の中に出てきた、彼女が立っていた。
微笑む彼女に恐怖感を抱くことはなかった。
『ここはどこですか?
あなたはずっとここにいるの?』
『私…ここから出られないの。出たくても…無理なの』
『じゃあ…私も出られないの?』
『…どうかしらね…分からない…ごめんね』
『あなたは…誰?』
その彼女は、黙ったまま何も言わない。
私の質問に答えてはくれなかった。
『ねぇ…見て?』