甘いシロップと香辛料
薫は、優しく頭をなでた。
「ごめん、咲の気持ちわからなくて」
そして優しく抱きしめた。
お腹の赤ちゃんを気遣って、
軽く、
でも、しっかり…。
「でも、生もうよ?お腹の赤ちゃん…」
そして、耳元で優しくそういった。
「俺と咲の、あかちゃん。きっといい子だよ?2人の証だよ?俺は生んでほしい。咲と一緒にいたっていう…。お互いを愛し合えた証として。なにより大切にする。2人を。約束するから…。だから咲?諦めないで…?」
そういって優しくキスをした。
………涙がでた。
あたしは…
あたしとお腹の子は
こんなにも素敵な人に愛されているんだ。
そして、お腹の子は
あたしと薫の愛情をまっているんだ…
なのに、あたしは
お腹の仔を、生みたくないだなんて思ってしまった。
ごめん…、ごめんなさい…。
「薫…、ありがとう………」
「………うん」
助けられてばっかりだね。
ごめんね?
いつか、りっぱなお母さんになるから。
まっててね?
赤ちゃん。