甘いシロップと香辛料
パシッ………―――。
その人物を追いかけようとしたが、腕をつかまれた。
「ユア………?」
「どうしたの?薫くん、いきなり」
そんなユアの声はどことなく震えているようだった。
「いや…、別に……」
そんなユアを見ると、追いかける気が少しうせてしまった。
でも、やっぱり咲かもしれない…。
「ユア、俺、トイレ行って来る」
「そっ…う?わかった」
ユアはいつもの笑顔でそういった。
でも、作っているようにも見える…。
ごめん…ユア。
俺は、やっぱりどうしても咲がスキみたいで、
咲じゃなきゃだめっぽい…。