迷える子羊×不器用男子


「真柚??聞いてる?」
『ごめっ・・・あたし、今風邪気味だからうつるといけないしっ!』

適当に言って誤魔化す。
だってホントにしたくないんだもんっ!

「そんなん関係ないよ」
『んッ!』

甘い甘いキス・・・・。
けどなんか嬉しくない。

『んッ!やめ・・・ッ!』

健吾はやめてくれない。
更に深くて甘いキスをあたしにしてくる。


“ドンッ”

『やめてって言ってんじゃん!』

あたしは健吾を突き飛ばした。
ポロポロと溢れてくる涙。なんで?
健吾は彼氏で付き合ってるのに。

「ごめん・・・な?」

辛い表情を見せる健吾。

「悪かったな・・・」

健吾はあたしを優しく抱きしめた。

「彼女を泣かせて・・・俺最低だな?」

あたしは何も言えなかった。
ただ健吾の腕の中で泣いているだけ。



――ガラッ――

「鈴宮??もう平気・・・」
『逢坂っ・・・』

1番見られたくない人に見られてしまった。
あたしは自然に健吾の腕の中から出ていた。

『これはね!?ワケがあってね??』

言い訳をしてしまうあたし。
こんなことしても逢坂は何も思わないのに。

「んでお前、泣いてんだよ??」
『ぇと・・・。ぁの・・・。』

「高梨」

逢坂が一定のトーンで健吾を呼んだ。

「あ?何?」

「お前のせいで鈴宮がないたんじゃねぇだろーな?」

健吾は少し黙って、口を開いた。
「俺が無理矢理キスしたから泣いたんだよ??」

「・・・そーか」


『キャッ』

逢坂は、あたしの腕を引っ張り自分のほうへ引き寄せた。

「鈴宮は外に出てて?」

にっこりと笑顔で言う逢坂。
あたしは指示に従って廊下へと出た。
・・・何するつもりなんだろう?

保健室のドアに耳を済ませた。
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