くるり
ベッドに戻ると彼はまた抱きしめてくれる。布団の中でもぞもぞと足を絡めた。
「照れ臭い」と彼はいつも言う。
その度嬉しくて、抱きしめたくなる。

彼の顔をじっくりと眺める。
「そんな見ないの」
彼は私の頭を軽く叩く。
「綺麗な二重だなーって」
真奈もじゃんっと彼は私にキスをした。

私は自分の顔が好き。自信があるのとは違う。正直、その返の女の子より可愛いと思う。性格の悪さがこう言う時に出る。でも、世の中のアイドルと比べれば足りない部分もある。

好きな人に可愛いと言ってもらえるのが一番嬉しい。これはその辺の女の子と同じだと思う。

「沢辺さん、真奈可愛いかな?」
彼は私の頭を撫でる。
「めっちゃ可愛いよ、俺がいつか捨てられるんじゃないかって心配」

そんなこと、あるかもね。そう内心思うけど、今は好きだから。この好きって感情はいつか無くなる気がする。私は笑う。
「私だって心配だよ…」

この感情の賞味期限がいつか切れてしまうんじゃないかって。
でも、彼も私の気持ちには気がついている。

『真奈がもし、今の生活を全て止めて、俺と一緒になるって言ったら、それは違うだろって言うだろうね』
そう言われたことがある。

ねっ、結局、そちら側に一緒に渡ることは出来ないんだよ。
そうやって彼は線引きをする。ここからは来ちゃいけないよ。そう私に教え込ませているんだ。

だったら、こちら側に来ちゃえば良いのにね。
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