くるり
本来の彼とは大学生の終わり頃からの付き合いで、そのまま社会人になっても一緒にいる。
ケンカすることもあれば、別れ話になることもある。その辺にいる恋人たちのようなことは一通りした。

彼にはないものを沢部さんに求め、沢部さんは彼女にないものを私に求める。
だから、今の私たちの関係は、本来の彼女や彼氏がいるから成り立つ。
お互いそれを理解し、一緒にいるのだ。そのおかげであっさりとしていて良い。

どちらかが、本来の相手と別れたら、そこで関係は崩れてしまう。
『相手と別れて、付き合おう』そんなことを言ったら、それはルール違反になる。

今の相手とちゃんと結婚したり、そんなゴールにたどり着けば、それで私たちは幸せになれる。

もし、今の世界がAだとして、別世界Bが存在すると仮定する。
Aで一緒になれなくても、きっとBでは一緒にいれたと思う。
Aの私たちはBの私たちを応援して、ただ見守っていたいのだ。
Bできっと幸せになってくれていると信じている。

決して見れないBの世界を、二人で共有する。それが私たちが会う理由なんだと思う。
< 19 / 20 >

この作品をシェア

pagetop